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管轄の垣根を飛び越しての「危機管理」

これが「民間防災 危機管理者」が必要となった事例です。

行事の保安や警備といった「安心・安全」をカタチにしていくこと。警察・消防の垣根を乗り越えて、運営スタッフにも災いを防ぐ知恵をもっていただくこと。

これらは総体的な見方ができないといけませんから、私たちもこの場を訓練要素として実践させていただいています。

災害時の情報拠点となる本部(現地本部)の立ち上げにも役立たせています。

全国初! 自治行政を絡めた通信

★川北まつり(石川県能美郡川北町)

「手取りの火まつり」といい、全町民が参加できる祭りをつくろう。そんな思いから、昭和61年からはじまりました。
夏の夜空を赤く焦がす、日本最大級の高さ45mの「大かがり火」をバックに、白山から流れ出た手取川の河川敷に設けられた特設ステージでは、豊作の祈りを込めた「虫送り太鼓」や先人の遺徳と御霊を慰める「送り火」、地域おこしの一環として生まれた「手取亢龍太鼓」などが次々と披露されます。

 

各部落からは「大かがり火」までの間、「太鼓を取り囲む大まつ行列」がやってきます。
飛び散る汗、集約するエネルギー。全町民の熱気が一丸となって祭りは最高潮を迎えます。

 

後半には北陸最大級の花火大会も繰り広げられ、20号玉を皮切りにスターマイン5基の連続打ち上げ、スクランブルスターマイン(斜め打ち)など約1万8000発の花火で石川の夏を彩ります。
毎年8月の第1土曜日に開催され、この日を楽しみに県内外から大勢の方々が参集する一大イベントです。

 

2007年から県営手取公園(美川地内)右岸に臨時駐車場と会場を結ぶシャトルバス(有料) も16時から23時頃まで運行することになりました。
〔2009年8月1日実施内容〕


※川北まつり紹介公式H.Pより抜粋し更に民間防災ボランティア【総合企画室】にて改編させて頂きました。


「災害機動通信隊」の要素を取り入れた通信指令を実施

大勢の方に楽しんで頂く為に、まつりの安全に欠かせないのが「雑踏警備」や「交通誘導」・「駐車場整理」との情報の共有です。
特に「緊急事案」発生時の、消防への出場要請を大会本部より「直接発信」できるシステムを構築しました。
警備警戒部門(警察、消防、警備会社など)の情報を本部で集積し、得た情報を供用し、連携を確保する目的で運用します。

【システム構築上の理由付け】
県道・主要地方道と臨時に借入れた駐車場内での誘導整理を、地元の警備会社と町職員が行い、それに伴う、渋滞状況や入庫状況などの情報を大会本部(現地警備本部)内に集積させる目的で、ハンディ型通信機(5w)4台を基幹系とし、1台は現地警備本部の基地局として運用。警備隊長に各々1台(A隊長1台、B隊長1台)の計2台を配備。能美消防本部「川北分署」通信室にも1台を配備する。

 

A・Bの各警備隊員には、各隊内での個別通信用に特定小電力トランシーバーを割り当て、各隊長からの指示が発せられ、また、各隊長に受けられる様にする。

 

現地警備本部には、民間防災ボランティア【総合企画室】の釜村がオブザーバーとして、通信を統括する。


消防分署に配備する理由として、現地警備本部での傷病者(救急)受理事案が多い事。
緊急車輌の走行区分の確保が事前に、路線配置員(警備員、役場担当者等)で行え、緊急車輌がスムースに通行出来る様に指示ができる事。
本部以外での緊急出動があった場合でも、受令機を併用し、消防波・救急波を傍受する事により、事前に緊急車輌の進路を予測する事が可能である事。
また、救急搬送先(病院)までの間も、同様の対処が可能である事。があげられる。

現地警備本部内の様子

現地警備本部内(仮設テント)には、「まつり実行委員」をはじめ、運営担当の川北町役場の方々、管轄の「寺井警察署」、「機動警察通信隊石川通信部」の皆さん、花火担当の「北國新聞社」さん、花火打ち上げ時の警戒区域を担当する警備会社の「セーフティ」さん、救護班担当の「保健センター」の皆さん、「場内アナウンス」の担当者、町内路線・駐車場担当の警備会社の総括者、そして通信統括の民防「釜村」で構成されています。
2007年に自治体(消防)公認で、民間との直接通話のシステムを採用したのは、全国でもこの「川北まつり」が初めてではないかと思います。

警備本部内の通信系統は、テーブルを同じくする警察の県内系(基幹系)と隊内系・署活系、警察機動通信の映像系、そして民間警備隊と消防分署を結ぶ業務波帯150MHz帯(5w)、北國新聞社さん(専属警備会社含む)の担当である花火打ち上げと警戒用に業務波帯を使用します。

A:民間運用の通信系統の内、「民間防災」が担当するものは、
 ①警備本部⇔A・B隊隊長(基幹系と部隊活動系の2系統を所持運用)⇔A・B隊各人員
 ②警備本部⇔川北消防分署

B:警察運用は、
 ①基幹系:現本⇔石川本部/現本⇔寺井P.S
 ②署活系:現本⇔寺井P.S/現本⇔各配置のP.M
 ③機動通信系映像班連絡波:現本⇔映像班
 ④機動通信系映像用:固定カメラ⇒中継機⇒現本

(◆機動通信隊のフィードホン型受像機。カメラは360°リモコンで回転し、対角線上に設置されている。)

C:民間警備会社「セーフティ」さんの担当は
 ①警備本部⇔花火打ち上げ警戒エリアの配置員

D:北國新聞社さんの担当は、
 ①警備本部⇔シャトルバス、有料席担当者  ②警備本部⇔花火師 となります。

上記の内、警察と情報共有を優先しているのがAで、現場の配置警察官も警備本部の通信を小耳にはさみながら、活動しているとの報告を頂いています。
また、本部内でも互いに聞き耳を立てて行っており、特に現場配置員からの物件事故の報告や落とし物等、本部では直視出来ない事案にも、警察との連携が取りやすくなっています。

 

当日は16時から23時まで臨時の交通規制がかけられ、花火開始時間辺りから規制解除までの間がもっとも通話量が多くなります。

 

必然的に本部通信役は花火を見る事が出来ないのが残念です!

現地警備本部(仮設テント)内のレイアウト

ボラセン立ち上げの参考になさって下さい。

背景の白い包みは花火打ち上げ場となる手取川中洲です。

実際の活動内容

【通話統制指揮図】

【事案対応までの流れ】
交通状況、駐車場利用状況、迂回路線指示、天候の情報、行事の進行状況などが主となりますが、大会本部には多種多様な外来者がやってきます。

中でも遺失物や迷子は警察の受け付けに回し、状況によっては現場配置員へ検索手配を送ります。
また、急病や怪我人は救護班に応急を依頼し、救急車の手配が必要な場合は、消防分署宛に救急出場の指令を発します。

【通信から読み取る事項】
本部内からは現場配置員の活動や、交通状況を直接見る事が出来ません。
特に、交通や雑踏は天候に左右されやすい為、集客時間や人の動線が毎回異なります。
そこで、駐車場の利用状況を把握し、県道・主要地方道の交通量や停滞状況を知る事により、人の流れを時間帯を含め、予測する事が可能となります。

【今後の展開】
各隊の個別通信機(部隊活動系)の出力が小さい為、警備対象エリアが広域となる状況下では、配置員同士の通話も一旦、中継しなくてはならず、タイムラグと手間がかかります。
また、警備員以外でも、要所の係員が同じ周波数で通話が可能となれば、迷子や落とし物の「呼出しアナウンス」等へも、その都度、離れた本部まで来る事なく、対応が可能となりますし、民間警備会社の担当外でも借入れた駐車場がある為、その担当者とも、逐次状況報告が得られれば、今よりは車輌の停滞を緩和でき、緊急車輌の走行区分の確保も容易になるかと思われます。
上記を考慮し、通信機の台数が必要とあれば、通信機メーカーの協力も視野に入れ、通信ネットワークの充実化が実現出来れば、それと比例して安全面も充実する事と思います。

川北町のご紹介

【川北町中心部まで】
●北陸自動車道 美川ICより車で10分
●JR美川駅から車で7分
●小松空港から車で20分
●金沢より車で30分


当資料は川北町役場まつり担当者へ制作意図をお伝えし、制作させて頂きました